水は低きに流れるが

 水は低きに流れるが、人の想いは高きを目指すべきだろう。

と、つぶやいてみた。

待ち合わせに指定されたホテルのロビーはSPを従えたた要人たちが群れていた。

田舎のホテルと侮ったわけではないが、国土強靭化計画の中心人物の本拠地だったことを失念していた。

大きな流れに逆らっているのではない。ただ、風の生まれる森という歌を作り、

それを映画に撮りたいだけだ。それも、和歌山の友人との小さな約束を果たしたい一心である。

ひとり、またひとり、賛同してくれる人が増えている。汗をかくことを厭わぬ人の笑顔が嬉しい。

始まったばかりだ。しかし、残された時間は少ない。 ぼくはまだここに生きている!

向き合ってはじめて、その人を知る。

 和歌山にいる。朝から空模様があやしい。

ああ、幾人がぼくを知っているというのだろう。

そしてぼくは幾人を本当に知っているのだ。

噂に惑わされて生きている人は悲しい。

しかし、それが現実ならば、その波の中を泳がねばならない。

友人の少ない友人が、言った。

”友だちは少ない方がいい”

その声は限りなくさびしそうに聴こえた。

この世には光りと影がある。

光りの中から陰をみるのと、陰から光りを見るのとでは見え方が違う。

和歌山に来て初日から、素敵な方々にお会いした。

今日もぼくは素敵な方々にお会いする。 

明日は西へ

 雨は降ったり止んだり、ぼくは走ったり歩いたり、

なんとなく忙しくて、なんとなく寝不足で、

はっきりした原因はなく、焦燥感が胸を苛んで、

梅雨時だからと自分を慰めて、つとめて笑顔で、六月が終わった。

梅雨はいまだ明けず、大型台風の近づく予報。

 きっと西へ向かう頃には台風の真っ只中であろう。

それでもぼくは希望を抱いて 西へ向かう。

信じること。今はそれだけだ。

女優

 高校演劇時代のはるか昔から、劇団の修行時代、

そして劇団創設を共にした同士まで、あまたの女優に接してきた。

今日、18歳の新進女優の一人芝居旗揚げ公演に立ち会った。

初日の観客は多くはなかった。しかも、決して芝居がうまいわけではない。

しかし、劇場は熱気に包まれ、そこは新しい時代を切り開くであろう”女優”誕生の聖地であった。

1時間の一人芝居に、観客の誰もが、瞬きも忘れて見入った。

第二部の舞踊ショーに入るまえの10分間の休憩で、

何人かの観客と会話する機会があった。いずれも、ぼくと同じく言葉をなくしていた。

感動?衝撃?18歳? ある方がつぶやいた。

「これが、女優なんですね… 」

日曜日まで4公演、絶対観たほうがいい!

3年後、5年後、彼女はもっと上手くなっているだろう。

だが、今、このとき、18歳の女優が全身全霊で表現する舞台に、あなたも立ち会うべきだ。

尚、2部に友情出演する少女人形舞台の西本嬢、藤原嬢、柏木嬢、

こちらも宴では見ることのない別物の”魅力”を存分に発揮されていた。

1時間40分は、それこそ瞬く間であった。

観客の女性が、今感想は書けないから郵送します、と、アンケート用紙を持ち帰られた。

さあ、出陣!

 これから、今年の、いや、今後の活動を左右する面談に出かける。

だが、一人ではない。支えてくれる友と理解ある相棒が左右にいる。

そして、後陣には俳優、スタッフ、親はないが姉妹もいる。

孤独感に苛まれるとき、ぼくは脳裏に浮かぶひとりひとりの名をつぶやく。

”この死にぞこないが”と、罵倒されたことより、”頑張れ”と励ましてくれた人を忘れない。

人を呪わば穴二つだ。他人の所為にして良いことは何ひとつ無い。

と思うのだが、すべて自分で背負うのは重いぞ!

苦しい時こそ、空に向かい、地に向かい、腹の底から笑おう。

どう転ぼうが、それも人生。

T沢くん、先日は来てくれて本当にありがとう。勇気百倍だよ!

睡眠と覚醒

 最近、午後の3時を過ぎると何故か眠くなる。

夢見心地という言葉があるが、そんな感じだ。

身体が温かくなり、気持ちがふんわりしてくる。

ぼくは惰眠という言葉が好きではない。

子供の頃は夢を見るのが怖くて眠るのが嫌だったが、

大人になってからは、眠るのが怠惰に思えてきた。

かといって、ぼくが眠るのも惜しんで働いているかというと間逆である。

どちらかというと、遊び呆けているほうだ。

睡魔に襲われるのが電車ならまだいいが、喫茶店などで打ち合わせ中だと困る。

今、朝の8時半、これから寝るところだが、こうしてパソコンに向かっていると寝そびれてしまう。

これが午後の眠気につながっているのだろう。

しかし、覚醒しているから良い脚本が書けるわけではない。

夢うつつでも面白い話が書ける場合もある。

「沈まない船」を書いた3日間、ぼくは殆ど正常な記憶はなかった。 

ただ、眠らないのは身体には良くないはずだ。

午後にうとうとしないためにも、しっかり睡眠をとるべし、という結論である。

おやすみなさい。

嗚呼、感激の夜

 なべ横のライブは、40年前の旧友をはじめ、素敵なお客様ばかりで、

歌いながら何度も感激で胸が詰まりました。

客席の思いやり温かさがステージに注がれるまなざしに乗って、

浜辺に優しく寄せる波のように、何とも言えない心地よさでした。

バンドの音やぼくの歌がどうとか、そんな次元をはるかに超えた時間と空間でした。

ライブはお客様で成り立つのだと、あれほど強く感じたことはありませんでした。

17曲用意していたのですが、何とか2時間と少しこぼれて歌い終えることができました。

お越しくださいました皆様には、本当に心から感謝いたします。

次回のライブはまだ未定ですが、早急に会場と日時を決めます。

 さて、今週は新進女優が立ち上げた劇団の旗揚げ公演です。

少女人形舞台にも所属する紅椿梗子一座、座長紅椿梗子の一人芝居と、

二部に少女人形舞台も参加しての舞踊ショー、

古き昭和の旅廻り一座を思わせる素敵な舞台になっています。

27日夜初日、28,29日昼夜2回公演、場所は新中野スタジオNOVです。

姉弟心中~デュアルハーツ~ 紅椿梗子一人芝居!

どうか皆様応援よろしくお願いします。 

嬉しい筋肉痛

お腹まわりを指摘されて早一週間、毎日が筋肉痛。

ライブは明日に迫っている。

17曲はぼくにとって今までにない曲数。

初めて演奏する曲もあり、譜面を書いたり直したり、慌ただしい。

そんな中で、声を張り上げると腹筋が痛い。笑っても痛い。

寝転んでも痛い。でも、緩んだ身体が締まるようで嬉しい。

こうやって健康おたくになってゆくのだろうか…。

66回目の夏も近い。明日はライブだ。

楽しい時間を過ごしていただけますよう、がんばりましょう!

まだ間に合うかな…

 先日銀座の画廊にご一緒した人生の先輩から、

”ちょっと体型がゆるんでないか?”と、指摘された。

その先輩は70歳を過ぎても学生時代のアイビーのまま、

体型もダンディそのものであるので、説得力がある。

若者たちと芝居の稽古をしていてさほど息切れもしないので、

緩んでいることに気付かなかったのだ。

それに、若者は心優しく、師匠を戒めてはくれない。

と、いうか関心すらない(といった方が正しい)だろう。

あれから、毎日4時間のストレッチを始めた。

もちろん、今までもシャドウボクシングや筋トレは欠かしていなかったのだが、

更に負荷を加えることにした。20代の身体に戻るのは不可能だが、

60代として身体を引き締めることは可能なはずだ。

しかし、いちど緩んだ身体は、そうた易く元には戻らないだろう。

この梅雨が明けるまでに、どこまで締まるか努力してみる。

この春、10歳も年下の友人に逝かれてしまったので、少し滅入っていた。

もう大丈夫!ライブまで1週間、飛ばして行こう!!

今回も素敵なメンバーと素敵なお客様に囲まれて、歌うよ~♪

今回の旅行かばん

キーボード:神津裕之

ギター :斎藤智善

ベース :藤原未来

コーラス、鳴り物:西本早希

6月21日 新中野スタジオNOV 18時半開演。 

ぼくがビンボーである理由?!

 ビンボー脱出の何か良い手がかりはないかと、

漠然と書棚に並んだ本の背表紙をながめていた。

書棚に出してあるのは愛蔵書のなかでもお気に入りである。机の周りに積まれたり、

押入れのダンボールにギュウギュウ詰めにされたままの可哀想な本もたくさんある。

ある一角に堂々と並んだ本の背表紙に眼がとまって、ぼくは愕然とした。

「日本遊戯史・酒井欣著・第一書房刊」「日本刑罰辞典・菊池克美著・新人物往来社刊」

「蕎麦史考・新島繁著・錦正社刊」「アイヌ文化史・金田一京助著・三省堂刊」

「栄光のワイン・アンドレ・シモン著・石川民三訳・東京書房社刊」「七夕と相撲の古代史・平林章仁著・h白水社刊」

ごらんのとおり、誰が読むの?何の役に立つの?と思われても仕方のない、

確かに何の役にも立たない、 それも千ページはある本ばかりである。

表記したのは一例で、書棚の殆どが、死刑類系や毒薬、一角獣、日本警察百年史裏話、

ビジネスに役立ちそうもない本ばかりである。

こんな本を真面目に読んで人生の貴重な時間を費やしていれば、

”そりゃぁ、ビンボーになるよな”と、ため息も出るね。

しかもね、暇な人は調べたら判るけど、高価な初版本や限定本ばかり。

かといって、今の時代に誰がこの値段で買い取ってくれるの?!

と、呆れられること確実。寺山修司が”書を捨て町へ出よ!”と忠告したとき、

ぼくは里吉しげみ先生と種村季弘先生の弟子で、書を捨てるわけにはいかなかったのだよ。

そして月日は流れ、ぼくはミラボー橋に佇む哀れなキリギリスとなってしまったのだ。

これではいけない、何とかしなくては!これからぼくはビンボー脱出の秘策を練ろう。

と、思った先から、書棚に面白い本を見つけた。

「北から来た黒船・ニコライ・ザドルノフ著・西本昭治訳・朝日新聞社刊」

ただ一隻の帆船で下田に来たロシア提督プチャーチン。

主な登場人物、ペリー、プチャーチン、プーシキン、筒井肥前守、川路左衛門尉、中浜万次郎、 

二段組で443ページ、朝まで読み終わらないだろう。

こうして貴重な人生の時間を浪費してしまうのだ。いかんなあ…