アセチレンガスからLEDまで

 「眠狂四郎無頼控」(柴田錬三郎著)が日本初の週刊誌として発刊された週刊新潮に連載開始されたのは、創刊の1956年であった。今を去る54年前のことだ。書き出しが時代劇調になったのは、昨夜、日生劇場でGACKT主演「眠狂四郎無頼控」を観劇してきたからであろう。日比谷の日生は心地好い劇場だ。そこで、眠狂四郎を見ることが出来るとは夢にも思わなかった。アイエスのTくんに感謝である。

 感想から言うと、殺陣と音効、映像効果のバランスが絶妙で思わず息を飲まされた。W氏からロンドンの「オペラ座の怪人」が映像効果なくしては成立しないと聞かされていたこともあり、今後の舞台芸術の方向性がそこにはあった。もはや、豪華な装置は映像で賄える時代なのだ。

 主人公の眠は設定が西洋人との混血児なので、演じられる俳優が限定される。そこへGACKTである。美しすぎて言葉もない。しばらくは彼の独壇場であろう。音楽のSUGIZOも絶賛されるべき仕事振りだ。和音階を一切使わず、和太鼓、琴、笙などの和楽器を見事なまでに使いこなした。ロックで江戸を表現する挑戦は、まさにロック魂炸裂の、GACKTへのSUGIZOからのラブレター、いやラブソングに思えたのは僕だけだろうか。

 LEDという最新の照明器具を駆使していながら、昭和30年代の、アセチレンガスのともる神社の境内で見た巡回映画の匂いが舞台に漂っていた。客席に身体を沈めて、僕は余韻に浸った。6月の少女人形舞台がますます楽しみになった。