季節はぼくらを焦らすのか

 南風が吹いて春が来たと喜んだのも束の間、

朝から真冬のような冷たい雨が 降っている。

気温も昨日の半分以下になってしまった。

しばらくはこんな繰り返しが続くのだろうか?

頚椎病みには耐え難い苦痛である。

二晩続けて読書で徹夜になってしまった。その理由は、 

若い友人Mくんに薦められて「帰ってきたヒトラー」(ティムール・ヴェルメッシュ著、森内薫訳、河出書房新社刊)を、

上下巻 通読してしまったからだ。途中でやめられない小説を久々に手にした。

ドイツで130万部も売れているドイツ人がヒトラーを好意的に(というと反論もあろうが)書いた唯一の小説であろう。

現代のベルリンに彼のヒトラーが生前の姿でよみがえったところから始まる痛快な現代風刺小説である。

すでに映画化も決定しているようだが、若い友人はぼくに舞台化して欲しいといってくれた。

やりたいが権利をとるのはたやすくないだろう。それこそ”天が望むなら ”BYヒトラー、の心境だ。

まずは22日土曜日の竹内緑郎ライブに全力を注ぐことにしよう。

For example Flower’s  and wind’s

Life is ”Goodby” only ”Goodby”

古い友人が、50年前に書いたぼくの手紙を”これはあなたでしたか?”と、

突然同封してよこした。若気の至りで書いた文字は、美しい書体だった。

紛れもなくぼくの手紙だが、少年時代にはこんなに清々しい文字を書いていたのかと 、

昔のぼくに少し恥ずかしい気持ちだった。

怠惰になるのに努力はいらない。積み上げる努力がまた報われる保証もない。

幸せとは、多くを求めることではなく、一つの真実を見つけ出すことだと賢人は云った。

立ち止まろうと歩こうと、季節は流れる。守るべき約束のある人こそ幸せなのだろう。

南風に起こされて

 朝から強い南風が吹いて庭の木々をざわめかせている。

枯れ木ばかりなので、ヒュウヒュウと皮の鞭が鳴るようなするどい音だ。

大勢の奴隷商人が”青野菜族の春菊たちに”に鞭を振う夢に追い立てられて目が覚めた。

春を告げる南風だよ、もっとロマンティックな夢を見させて おくれ。

南に向いた窓を開けると、確かに柔らかく暖かい風が真っ向から飛び込んでくる。

昨日夜更けて煮物を作ろうと深夜開店のスーパーから野菜を買い込んできた。

シイタケ、ニンジン、サトイモ、タケノコ、これは定番である。

色添えにいつもならホウレンソウにするのだが、なんとなく春菊を手にしてしまった。

夕べの稽古中に上田秋成の”菊花の約 ”を語ったから、とは単純だが、春菊は失敗だった。

こんにゃく、厚揚げを加えて、昆布にカツオ出汁、塩、砂糖 に味醂で夜明けまで煮込んだ。

春菊はいけない。プーチンである。野菜類どころか、厚揚げコンニャクまで、

鋭いプーチン味に染められてしまっていた。

青野菜族にも確かに南方系の匂いの強い種はあるが、

彼らは一目で、タイやカンボジアだと判る。しかし、春菊は見た目は優しい菊の葉っぱだ。

色もほうれん草に近い。青梗菜や空芯菜のように青々飄々とわれらは中華であーる、

といった風な自己主張も見せていない。なのに、煮込んだが最後、強烈に周りを占領してしてしまうのだ。

やはり春菊はすき焼きなべで主役の牛肉と戦わせるのが一番だと、今更ながら気づいて、

にがい煮物を口にした。煮物は縄文時代に限る。

鉄の鋤に肉をのせて焼くなんぞ、われら縄文人には考えもつかない文明人の食い物である。

しかし、すき焼きは美味い!人類はすべからく文明に凌駕される運命なのだろうか。

強い南風のなかで、青野菜族も苦難の道を生き抜いてきたのだと妄想を膨らませながら、

にがい春菊を喰らう。そう、世界中の青野菜が今日まで生き延びているのには秘めた歴史があるのだ。

今週の土曜日には竹内緑郎ライブと少女人形舞台の宴がある。

是非、お越しくださいませ。青野菜族の物語などお話しましょう。

春一番まで一週間

 来週の木曜日に東京に春一番が吹くそうだ。

この頃の天気予報はかなり正確になってきたが、

春の嵐は突然やってくるので気を抜いてはいけない。

かといって、自然の猛威の前にはなすすべもないのが現状だが…。

ぼくは春一番が吹く前の、寒風に耐えながらカウントダウンに入る、

この一週間が季節の中で一番好きだと思う。

もちろん、梅雨明けの夏空や、金木犀の香りが漂う秋の夕暮れ、

木枯らしが吹く前の最後の紅葉、季節の変わり目はいつも心が躍る。

しかし、身体の方は心と裏腹に、季節の変わり目にはいつも悲鳴をあげる。

車でいえば65年もののオールドカーである。エンストしないで走っているだけでもありがたい。

春一番が吹いてしまえば、もう走り出すしかない。そのスタート前の緊張感は何ともいえない。

正月よりも3月の方が、ぼくにとっては一年の始まりに思えてならない。

もちろん、正月に一年の計画を立てるのだが、走り出すのは春一番にあわせる年が多い。

今年も、3月22日土曜日、竹内緑郎と旅行かばんのライブが始まる。

「今宵は春めいた微笑で~」場所は丸の内線新中野駅3番出口から徒歩3分、

なべ横通りにある「スタジオNOV」という小さなライブハウスです。

http://www.nfpinc.jp/studionov.html

18時開場18時30分開演。よろしかったら是非お越しください。