風よ伝えて

百億の魂が散らばる空の彼方に、

ぼくはいつの日旅立つのだろう。

千億の夢が眠る銀河の向こうで、

懐かしい人は待っていてくれるだろうか。

母の記憶がぼくの記憶だった幼い日を、

思い出したい時がある。

春がくれば母の13回忌だと、

デラシネのぼくを諌めるように、姉が電話をくれた。

13年という歳月は、長いのだろうか短いのだろうか。

幕末ジャンクションいよいよ!

 何と穏やかな陽射しなのだろう。犬も猫も重そうな瞼を上げられないでいる。空に雲はなく、ただ青が広がっている。寝そびれてソファーでうたた寝をしていたら、乾燥の所為か喉が痛くなった。手元にあった風邪薬の錠剤を3粒、熱いコーヒーと一緒に喉に流し込んだ。万全だ。

 空気が乾燥していると頚椎の痛みも和らぐ。身体に故障を抱えていると、無茶をしないで済む。11月9日からの公演「幕末ジャンクション」の稽古も大詰めに入ってきた。殺陣を頼んでいた劇団の後藤享が休んでいるので、ぼくが老骨(自分では微塵も思っていない)を駆使している。後藤、早く来てくれ!殺陣、ダンス、芝居、歌、若いエネルギーが迸るのは圧巻だが、まともに受けて毎日くたくたになっている。しかしそれを言い訳に、原稿の締め切りが遅れるのは許されない。無理な日程なのはわかっていたことだ。そして、やれないことはないことも。さあ、今日は久々に和服で出かけよう!

マケイヌバー本読み開始

 12月公演「マケイヌバー」の出演者が勢ぞろいして、いよいよ本読み開始。キャスティングに時間をかけて出演者を口説いたことに間違いはなかった。初日の読み合わせからワクワクする展開となった。

 28才にして勢いでバーを開店してしまった神戸城児(西畑春之介)と、開店の日に顔を出す個性豊かな業界の面々。神戸と俳優養成所時代に同期だった旬の女優時種町子(塩山みさこ)その付き人伊武京子(高橋明日香・木下詩乃ダブルキャスト)、音楽評論家村岡準(岩崎う大)、音楽プロデユーサー松浦圭子(北原マヤ)、そして別れた妻にしてデザイナー丹羽春美(渡部彩)、神戸の親友で脚本家里見良介(室屋翔平)、アルバイター片山鉄夫(槇尾ユウスケ)。

 その10年後、神戸城児38歳のある日、10年前の面々が集う。18歳の小娘だった伊武京子は売れっ子の女優、親友里見は新進気鋭の脚本家、音楽評論家村岡準は肩で風切る勢い、元妻丹羽春美はニューヨークに移住することを告げにくる。里見と京子が結婚した?神戸は複雑な思いを胸にふたりを祝福し、新婚旅行のドライブへ送り出す。

 そのまた10年後、バーテン山辺を亡くした48歳の神戸城児は、バーを閉めることになった。そこへ現れた面々は…。

と、こんなあらすじの舞台が12月6日に幕を開けます。ご期待ください。

マケイヌバー前夜祭

img_7839.JPG撮影・杉本喜公

 写真は左から塩山みさこ(時種町子役)西畑春之介(神戸城児役)木下詩乃(伊武京子役)そして、作・演出の朝倉薫。

 素面でべらべらサービスする俳優より、台本がないと借りてきた猫状態の俳優の方がぼくは好きだ。塩山みさこも西畑春之介も、酒が入らないと口が重くて司会者泣かせである(笑)

 加えて木下詩乃は若干18歳の新人女優、大人に囲まれての緊張がひしひしと伝わってくる。30分のトークタイムを20分に切り上げた。なのに、そのあとの竹内緑郎が歌は4曲と少ないがトークが長く、結局10分のタイムオーバーで「マケイヌバー前夜祭」は終了した。

 明日は18時から出演者全員の顔合わせ&台本読み合わせ。ぼくは11月公演の演出があるので、そちらを終えてから駆けつける。両方の稽古場間は電車で15分。当分行ったり来たりの稽古が続く。芝居の稽古は好きなので苦にはならないが、切り替えが少々難しい。

 

 

メリーココの夜は雨…

 朝から(12時過ぎてる)ココアにシナモンを入れて、今日は蜂蜜も入れてみた。いつもと味が違うと、朝が微妙に朝ではなくなる。夜が明けてから寝る習慣が長いので、世間的に朝の電話がつらい。今日も9時過ぎに一件かかってきた。先方にも都合があるので責めることはしないが、朦朧としているのでよく忘れる。誰だったかな…

 明け方、ギターの弦を張り替えていたら雨と風の音が心地好く聴こえた。それは、パソコンに入っていたメールのおかげだと思う。遠い和歌山の地で、ぼくが35年前に作った「江古田スケッチ」という歌を、FM番組のテーマソングに使ってくださっているSさんからだった。

 何と和歌山から、今宵のメリーココにぼくの歌を聴きに来てくださるそうだ。あのとき、ぼくは学生たちの出会いと別れを画用紙にスケッチするように歌にした。嬉しいのは、歌が心だけでなく現実に人と人とをつないでくれることだ。大雨が心配されるが、穏やかな慈愛の雨になることを祈ろう。と、12時37分、陽射しが部屋に降りそそいできた。通じたかな。

稽古場難民

 3年前に劇団稽古場を閉めてから、その公演ごとに稽古場を借りている。今日は西、明日は東に、安い稽古場を探しては移動していると、身軽ではあるが疲れる。自前の稽古場だと衣装小道具をそのまま置いて帰れるのでスタッフは助かる。日ごとに借りている稽古場だとそうはいかない。11月公演「幕末ジャンクション」の稽古場は一箇所だが、ぼくの住まいからは遠い。しかし、稽古場を持たない劇団としては仕方がない。

 お世話になっている不動産屋のNさんにお願いして12月公演の稽古場を探していただいた。一ヶ月契約で三箇所候補が見つかったので見てくれと電話があった。本番まで1箇所で稽古ができるのは嬉しい。では、約束の時間なので、出かけます。

菊花の季節

 菊花といえば、上田秋成の「菊花の約」をチラリと思い浮かべながらも、淀の3000㍍を疾駆する若駒の方の話題へ。今年は、皐月賞、ダービーと破竹の二冠馬オルフェーブルが圧倒的な人気を集めるのだろう。母の父が、菊花賞から春の天皇賞を2回も勝ったメジロマックイーンという長距離の帝王だ。しかし、3冠を獲るのは容易なことではない。思いがけない伏兵もいる。例えば秋に500万、1000万条件を勝ちあがったばかりのダノンマックインだ。小牧が乗ってくるのだろうが、ぼくは注目している。ドラマチックなのはトーセンラーだ。春に大震災の影響を受けながらみごとに復活してきた。この2頭にベルシャザールあたりが頑張れば、菊花賞は面白いレースになるだろう。

 と、人生はいつも横道に面白いものがあり、道草ばかり食っている。昭和51年6月に発行された種村季弘先生の「壺中天奇聞」(青土社刊)が、何故か売られずに本棚に残っている。30数年前の1800円は、ぼくには大金だった。”孤児のロゴス”(雨月物語考)”ピュグマリオンの走法”(坂口安吾論)など、タイトルの付け方に感心しながら読んだ。

 嗚呼、種村先生に熊本の銘酒”美少年”を持参するとの約束を果たせぬまま、先生は逝かれた。そして、”美少年”も、米騒動で蔵元が潰れた。時は流れ、形あるものは消える。菊花の季節になると、感傷が更に深まる。

 交わりは軽薄の人と結ぶことなかれ(菊花の約)

歯医者に行った

p2011_1018_102357.JPG 「この抗生物質は一日3回、9回続けて飲まないと効きません」と、看護婦さんに言われた。

 病院でもらってきた痛み止めの頓服薬と3日分の抗生物質内容薬の袋が目の前にある。やっぱり危なかった。

 レントゲン写真を見ながら歯医者さんの説明を聞く。強く噛み過ぎて歯の土台の部分が割れているらしい。思い出せば夏ごろ、何か硬いものを噛んで脳天まで電撃が走ったことがあった。きっと、あのとき、歯の根元を噛み砕いてしまったのだろう。

 夏から今までよく痛みを我慢したものだと呆れられたが、歯医者に来たくなかったとは言えなかった。しかし、我慢にも限界がある。どちらを選ぶかは個人の自由ではあるが、ぼくは歯医者に行くことを選んだ。「次回は来週火曜日の12時です」

 嗚呼、予定という憂鬱が入ってしまった。また半年以上続くのだろう。いや、春に「長くかかりますよ」と言われた。今度はサボらずに毎週通うことに、…出来るかな…。

歯医者に行こう!

 歯医者に行こう!と、自分を勇気付けてみる。春に治療を始めて、夏にサボったら、秋に痛み出した。治療にくるようハガキまでいただいているのに、ずる休みしてしまった。病気もそうだが、ぼくは余程の痛みがないと病院に足が向かない。年に一度の検診もパスしてしまう年がある。97歳で今も元気な父は、何かというとすぐ病院へ行っていた。そんな父を、母とぼくは笑ったものだった。

 亡くなった母も病院嫌いだった。で、手遅れの末期癌で逝ってしまった。ぼくもそうなるだろうなという予感はある。いかん、いかん、何としてでも明日は歯医者に行こう!そして、病院の定期健診も受けよう。忙しさを理由に引き延ばすのはよくない。判ってはいるのだが。 

丹波の黒枝豆!?

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 丹波の黒豆は有名だが、親しくしていただいている神戸のOさんから届いた黒枝豆には驚いた。丹波の黒大豆が成熟して黒豆になる僅か前の青い枝豆で、賞味期間がごく限られた、秋のこの季節だけにいただける貴重な一品らしい。品書きに「生ものですのでお早めにお召し上がりください」とあり、慌てて枝から豆を千切り、塩もみしてうぶ毛をとり、塩で茹でた。(ほんの数本だが、大鍋にあふれた)

 ビールで宴会でもしなければ、この量は食べきれない。劇団の片山竜太郎が喜びそうだ。春之介くんもね。おっと、稽古に遅れてしまう。急がねば!