大晦日に想う

 朝から静かである。迎えに来るはずの榊原くんが来ないので、予定を変更して部屋の片付けとポストカード書きをしよう。東京は雲ひとつない空に太陽が輝いている。静かである。西日本や北は大荒れの天気だと聞いた。外国では洪水に見舞われた国もある。暦は人間が定めたもの、自然は容易く従ってはくれない。むしろ、自然に従って暦を作ったのが人間である。正月に晴れていると心も安らぐ。暦の八月をめくれば、眩しい夏が脳裏に浮かぶ。

 母が逝って十年になるが、今更ながらにありがたさを思い出す。母の手縫いの真綿入りの布団、手料理、柚子湯、当然のように甘えていた。感謝の言葉を告げようにも母はいない。しかし、母の素敵なところだけが思い出されるのは、良いことであろう。独りの大晦日は原稿書きを中断し、香を焚き茶でもたてて、静かに母を想って過ごそう。何もないことが無限の広がりにつながっている。物食う動物からもの想う人間への進化は、暦や兵器を作るだけではないはずだ。

劇団納会は朝まで…

 写真を撮ってブログに載せるつもりが、あまりの楽しさに撮り忘れてしまった。今、赤杉くんと後藤享が後片付けをして帰った。片山は日付をまたいだ深夜に現れ、熊本の友人が送ってくれた白岳のしろを一本空けて、珍しく酔っ払って明け方帰っていった。陽気な酒なので楽しい。

 まず保坂監督に感謝しなくてはならない。今年は無理かと思っていた劇団納会をやるべきだとカンパまでいただいて、ささやかながら集うことが出来た。今年から制作に加わっていただいた杉本さん、湯浅さんも”壮絶な我が住まい”に足を運んでいただき、北原マヤ嬢、西本早希嬢も参加して、鍋を囲んだ。杉本さんから来年の年間予定表を貰って、全員絶句!なんと舞台だけで7本入っている。それに恒例のイベントを加えると11本、1月末のプロデユース公演を加えると、12本。しかし、全員、良い意味の絶句で、鍋の所為ではなく部屋が熱くなるのを感じた。勿論、僕もやる気満々である。が、ふっと、竹内緑郎の仕事もあるし、と、口には出さなかったが壮絶な1年間が思われた。倒れたら倒れたでそのときのこと、先ずは1歩を踏み出すことだ。恐れていては何も出来ない。

 それにしても、有馬記念を的中させた我が友人は、ススキノで豪遊しているのか姿も見せない。今まで随分助けてもらっているので、たまには楽をさせてやるのも友情だろうか。しかし、調子に乗って正月はマカオまで行ってしまわないか心配である。ビンボー人によけいな心配はして欲しくないと憎まれ口を叩かれるかな。面白いものだ、僕は彼の身体を心配し、彼は僕のビンボーを嘲笑いながら(ツンデレというやつだ)内心では心配しているはずだ。こうして月日は過ぎて行く。あと1日半で、2010年が終わる。

冬の陽射しは優しいが…

 窓から射し込む冬の陽射しは限りなく優しい。パソコンの画面を覗き込むと、そのなかに眉間に皺を寄せた髭の男がキーを叩いている。不思議な絵だ。思わず覗き込んでしまった。部屋に差し込んだ陽射しが僕の身体をパソコンの中に映し込んだのか、それともパソコンのなかの僕が本物で、実態だと思っている僕が幻覚なのか、朝の光の中で僕は妄想に囚われる。

 一見優しく美しいものの本質に厳しい本性が隠されていることを、見抜くことは難しい。レントゲン写真を通して見れば、愛しい女性も教養あふれる聖人君子も、皆均しい骸骨である。申し訳ない、判りきった興ざめの話など、誰も聞きたくはないだろうし、骸骨踊りなど誰も見たくはないだろうが。

 真っ青な空に金色の太陽が昇った。風もない。2010年12月28日、自然淘汰という言葉が、頭をよぎる。生存競争を勝ち抜けなかった数多の優しい生物よ、安らかに眠れ。

メリーココの夜VOL.2

vol2.jpg 写真はメリーココの夜VOL.2のポストカード

 竹内緑郎ライブメリーココの夜、その第二回目が1月22日土曜日、渋谷のホテルサクラフルール青山の1階にあるカフェメリーココで、開演は19時から。予約は朝倉薫演劇団HPで受け付けています。お問い合わせ、電話での受け付けは03-5467-3841(メリーココ)まで。今回のゲストはフォークシンガーの守沢高さんです。僕の「獏の群れなす街で」を歌っていただこうと思っています。「江古田スケッチ」から34年、こうして元気に歌えるなんて本当に幸せです。

 20数年来仕事で付き合ってくれた作曲家の神津裕之さんがピアノを、同じく作曲家の大堀薫さんがベースを弾いてくれます。神津さん作曲の「君忘れじのマンハッタンジルバ」大堀さん作曲の「オールドポートストーリー」も歌います。初回の10曲から16曲に増えたので、MC時間が短縮。時間の止まったような素敵な夜を、お楽しみに。

ちょっと一服のつもりが…

 有馬記念は残念ながらレッドデザイアーはブービーの14着であった。俗世間を離れて懺悔の旅に出ているはずの友人が遠い札幌の地で24倍もついたワイド馬券7-11を当てたとメールが来た。今宵はきっとススキノのネオンの海に沈むのであろう。劇団の忘年会には懺悔がてらカンパを持って現れるか、はたまた札幌で撃沈されているか、予測はつかない。憎めない男である。

 銀座の喫茶店でちょっと一服のつもりが、話が盛り上がって3、4服してしまった。主に竹内緑郎ライブについての反省だったり、次回のポストカードや構成についての話だったので、有意義ではあった。もう遊んでいる時間はほとんどない。今年最後の日曜日が終わった。明日は午後に朝倉演劇講座が2時間、来年からは本格的に始まるらしい。ハードスケジュールでもリズムがいいと疲れもやわらぐ。移動が多いとリズムが狂うので、疲れが倍増したりする。コンディション作りも大切だが、何よりも気力の充実を計るのが一番である。

 夢、憧れ、希望、友情、愛、慈しみ、人間が求めてやまないのは心からの笑顔だ。♪涙は罪、心を迷わせる 噂はナイフ、心を切り刻む♪ 1月のライブで歌う新曲のフレーズ。流行歌を真剣に作ろうと思っている。しかし、流行らなければ流行歌ではないのだ。「売れなかった僕の歌」のリスト入りだけは、避けたい。

中山有馬よ何処に

 ブエナビスタを破れるのはペルーサかエイシンフラッシュだろう。したがって、馬単で10-7、14-7の2点。3着候補は9、12、15番、僕は故あって15番レッドデザイアーの複勝1本である。いよいよ今年も終わりに近づいた。ちょっと一服、銀座でお茶してきます。

LUNA SEA 黒服限定GIGに行ってきた。

 東京ドームは黒服で埋まっていた。勿論僕も黒の皮パンに黒のブレザー黒のコート、丁寧に黒眼鏡に黒いソフトを冠って出かけた。LUNA SEAの東京ドームは2回目だが、LUNACYを名乗っていた初期の楽曲は新鮮だった。そうだよね、62歳になって16歳の時作った歌を歌って違和感がないのだから、まだ壮年期真っ只中の彼らにとって20年前など昨日のことだろう。

 駆け抜ける日々は早い。5万の観衆をひきつける彼らの魅力を考えてみた。第一は、音楽に対して限りなく誠実であること。それに続くのは、有り余る才能に溺れず常に研磨し続けている姿勢。20年前十代の少女だった一途なファンが、20代30代になっても声を嗄らして声援を送る。そこには、犯されざる夢の世界がある。LUNA SEAはステージから問いかける。「俺たちは夢をあげてるかい?」観客は答える。「YES!」 そのやり取りを聞いて、僕は涙があふれそうになった。ここには、5万人の幸せが躍っているのだ。

 束の間の美しい夢の時間を”遊び”と定義して、河村は言う「真剣に遊ぼうぜ!」子供はいつも真剣に遊ぶ。孤独な少女の夢見る王子様がステージを翔ける。妥協のないステージ構成、高い音楽性に裏づけされたパフォーマンス、スタイル、いずれをとっても、隙がない。50歳、60歳になっても、シカゴやローリングストーンズのように、ファンに夢を与え続けて欲しいと願いながら、北風冷たい東京ドームを後にした。ステージに大切なことを若い彼らにいくつか学んだ。招待いただけた幸運を僕は感謝するだけでなく、分け与えなくてはならない。1月22日のメリーココの夜に、お返しができるよう、精進を重ねたい。真剣な遊びは終わった。さあ、原稿書きに入らねば!

気がかりな言葉

 いずれも鬼籍の人なので敬称は略するが、40年前三島由紀夫の自死に言を求められ、「自然淘汰だ」と事も無げに言い捨てた深沢七郎の言葉は、今も心を離れない。人生穏やかに過ごせるに越したことはないが、浮き沈みは世の常。時には自分で幕をおろすことを思った人も少なくはないだろう。いや、年間数万人が自らの命を絶っている。

 疲労が蓄積し限界を感じたとき、僕は深沢七郎の「自然淘汰だ」という言葉を思い出し、笑みが浮かぶ。何と深い励ましの言葉だろう。”自然淘汰されてたまるか”死ぬその日まで生きるのが人間の権利と義務なのだ。ああ、また硬い言葉になってしまった。

 物語を書く人間として、僕は”気がかりな言葉”を残せるだろうか。躓いた誰かのために、僕は力になれるだろうか。「生まれ出たのは母親の屁のようなもの」と笑いながら、深沢七郎は命を慈しみ謳歌した。そんな境地には程遠いが、躊躇する時間はない。さあ、芝居の続きを書こう。

1月5日のノートとLUNACY

 1月5日のノートに、ルーラーシップとヴィクトワールピサが1月10日のシンザン記念に出走してきたら迷わず買う、とある。二頭は無事にダービーに駒を進め、弥生賞、皐月賞と連勝して1番人気となったヴィクトは3着に破れ、多少順調さを欠いたルーラーは5月8日のプリンシバルSを勝ち、4番人気で5着に破れた。僕はヴィクトを選択し、エイシンフラッシュ、ローズキングダムとの三連単を的中させたが、内心ルーラーを馬券の対象から外したことを後ろめたく感じていた。1年が過ぎ、下馬評どおり今年の3歳馬は強く、6頭が有馬記念に出走する。ダービー2着のローズは残念ながら直前の出走取り消しとなったが、それは今年の武豊の不運と連動するかのようだ。強い馬が勝たなければ有馬記念ではない。しかし、騎手の手綱捌きに左右されるのも競馬である。ヴィクトもルーラーも、そしてダノンシャンティ、トゥザグローリーも、3歳馬の騎手はペルーサの安藤を除いて皆外人騎手である。昨年の覇者ドリームジャーニーは順調さを欠いた今年のレースオールカマーの2着が最高という始末。充実の5歳馬オウケンブルースリジャパンカップ7着で足が腫れたとの噂、スミヨン騎手を配した4歳牝馬ブエナビスタの単勝が1.7倍もうなづける。3歳馬ペルーサが6倍、ヴィクトが9倍と続く。ドリームは何と6番人気で14倍である。しかも鞍上は昨年同様池添に任せた池江調教師、球節炎さえ完治なら57キロでブエナに並びかけることが出来るはずだ。問題は今年のダービー馬エイシンフラッシュ、内田騎手がジャパンカップで先に行かせた乗り方にどんな意味があったのか知る由もないが、5枠10番から前に壁を作って正攻法の競馬をすれば、上がり32秒7の足で突き抜ける姿が想像できる。さて、ペルーサのオーナーは祝賀会のために27日の日程は白紙にしてあるとの噂も耳に入ってきた。ダービーに続いて1点で3連単が取れたら素敵だろうが、ルーラーシップに情が入っているので、どうなることやら。ヴィクトがデムーロ騎手、ルーラーがルメール騎手、どちらも岩田騎手のお手馬だった。そして男岩田はフォゲッタブルに騎乗する。今年も面白いレースになるだろう。女傑ブエナビスタを破るのが名牝エアグルーブを母に持つルーラーシップならば、ブエナの母ビワハイジも文句はあるまい。とくれば、トゥザヴィクトリーの息子トゥザグローリーにも登場願おう。ルーラー、トゥザ共に父はキングカメハメハなのも物語としては面白い。そこで馬券だが、机上の予想で、7から5ー11ー12の3連単、馬単7-5、7-11、7-12の3点、明日は1点に絞れるだろう。友人は14番ペルーサの単勝と枠連7-7のぞろ目を推奨した。ならば牝馬3頭、7-8-15で、ぞろ目の枠連4-4も面白い。ちなみに、ダービーの1点予想は1-7-8であった。いずれにしても強豪が勢ぞろいする有馬記念は必見である。

 今日は原稿書きをサボって東京ドームのLUNACY 黒服限定GIGに行く。2007年の再結成にも行ったが、縁とは不思議なものである。

サイレントナイトだね!

 原稿を書き続けている。天気がいいのは頚椎の痛みが和らぐので歓迎だが、騒がしいのは困る。一日30分間部屋の掃除をするようにしているが、中途半端である。それでも中心は原稿書きなので、せっせと書いている。3月公演脚本の仕上げに手間取っている。1月24日からのリーディングシアター(朗読劇)用の台本を15分もので6本×3本、まだ、半分しか進んでいない。年内中に書き上げる予定の舞台台本が2本、24時間フル作動である。したがって今年ばかりは暮れも正月もない。世の中には遊んでいる人と仕事をしている人がいる。今年は仕事をする側にまわった。実に楽しい。

 そういえば後援会の古株のヤマさんが久々にクリスマスファンタジーに顔をみせてくれた。スキー合宿はやらないのかと聞かれて、そういえば数年前まで毎年やっていたことを思い出した。この冬は雪も多そうなので、赤杉くんに企画するよう頼んでみよう。蔵王も草津も、ご無沙汰している。スキー合宿か…懐かしいな…。

 16世紀に伝来したキリスト教のミサがうまい具合に年末商戦に乗り、子供たちには美味しいケーキをもたらした。街はイルミネィションで華やぎ、ひと時の快楽に酔いしれる人の波が寄せて返す。数日もすれば、仏教伝来以来の初詣に集う。神社もまた、その恩恵に便乗する。めでたしめでたし、である。別にひがんでいるのではない。俯瞰でながめただけだ。

 戦争の20世紀を乗り越え、21世紀になったが、宗教はまだ世界を救ってはいない。第一、世界を救うとはどういうことなのか、そもそも人類は気付いていない。クラウゼビッツの呪いを解けよ、世界の指導者たち、そして歴史に名を残すのだ。頑張れ!僕は原稿を頑張る!